3 奇妙な店


 学校を卒業すると屋敷から歩いて通える距離にある中学校の先生としての職を得た。そ
の頃には自分は永遠にこんな生活を続けるのだというあきらめの境地になっていた。自分
が教師にむいているとは思えなかったのだが、ちょうど仕事をさがしているときに学校の
教員の空きが出て運よく採用された。さえない見かけがかえってよかったのだろう。決し
て悪いことをするようには見えない。
 明日から新学期で初出勤という夕方、アスターは学校の近所を散歩がてら見てまわるこ
とにした。町の学校というだけあって、入り口には槍をつらねたようないかめしい鉄の門
があり両端のどっしりとした石の門柱の上ではなぜかガーゴイルがそれぞれの持ち場から、
中に入る人間を威嚇するように睨みつけていた。中庭の先にあるレンガを積み上げられた
四階建ての校舎は威厳があるが重苦しい感じで、アスターが通った村の学校とはまったく
違う。まだ学校は休みなので正面の門は閉まっていた。横の通用門から入れるのだろうが
別に用もないので表から眺めるだけにした。遅まきながらとうとう一人前の社会人になっ
たという自覚とこれからの責任がわき上がってきて気持ちが高揚していくのがわかった。
しばらく学校を眺めたあと、あたりを歩き回ることにした。学校は町の中心に近いので人
通りは少なくなかった。石畳はきちんと手入れされ、街路樹の葉っぱもゴミも落ちてない。
気軽に食事ができる店や雑貨屋、花屋などが並んでいるが、どの店もこぎれいで上品だっ
た。裕福な人々が住む取り澄ました環境といったところできっと生徒もそれなりの子供た
ちなのだろう。アスターは自分を田舎者だと思っているのでなめられないようにしなくて
はと心にとめた。
 表通りに目新しい物はないので路地裏を回ってみることにした。どの家も玄関や出窓に
花が飾られ、庭の雑草は抜かれ植木は刈り込まれている。中流階級以上と見られるきちん
とした家がほとんどだったが、それでもたまに門がかしいでペンキがはがれ窓にかかった
レースのカーテンの色がすっかり黄ばんでいる家もある。それを見るとかえってホッとし
てしまう。
 しばらく歩くと周りの雰囲気にそぐわない古びてみすぼらしい小さな家ががっしりとし
たレンガの家にはさまれるように建っていた。近づいてよくて見るとどうやらなにかのお
店のようだった。入り口の内側からほのかに照らされる明かりで、扉にはめられた色の濃
いステンドグラスの奇妙な模様が見えたが、ほかに窓もなく店の中を見ることはできなか
った。アスターは近づかないほうがいいなと判断し立ち去ろうとしたそのとき、突然店
の扉が開いた。出てきたのは小さくて頭が禿げ上がったしなびたイチジクのような老人だ
った。老人は鼻をクンと鳴らすと「やあ、いらっしゃい。お前さんは最後の客じゃ。まっ
たく運がいい。なんでも好きな物を格安で売ってやるぞ」老人はアスターを有無も言わさ
ず中に引き込んだ。
「あの……、僕は別にここに買い物にきたのではないんです……ただ、通りかかっただけ
で。大体ここはなんお店です?」部屋は薄暗くてよく見えなかった。
「見ればわかるじゃろう。ああ、すまん。ちょうど閉めようとしとったんで明かりを消し
たところだった」そう言ってちょこまかと動きまわるとあちこちにあるロウソクに火をつ
けた。
「見てのとおりのなんでも屋じゃ。とはいっても生ものは扱っておらんがね。置いてても
腐るだけだからの」そう言うとフォッフォッと笑った。
「ゆっくりしていきたまえ。なにか必要な物があるんじゃないかの?」
 目が慣れてくるとアスターはゆっくりと店の中を見回した。確かになんでもあるようだ
った。まともな物では本や鍋、やかん、腐らない調味料、ただしいつからあるのか怪しい。
箒やちりとり、文房具、金づちに鋸,つまり大工道具、花瓶に絵画、鍵盤楽器に管楽器、
とにかく狭い部屋にこれでもとばかりに所狭しと天井までぎっしりと詰め込んであった。
その中には得体のしれない物も多く混じっている。ガラス瓶の中で液体に浸かったヘビや
カエル。これはまともなほう。羽のあるオオトカゲの剥製。とぐろを巻いてかま首をあ
げたヘビ、両端が頭になっている。壁の一面にはラベルがついていないが綺麗な色の液体
の入ったボトルが並んでいる。アスターはボトルひとつ手に取り訊いてみた。
「この中になにが入っているの?」
「なんじゃろうな、はて?」老人は眉をひそめた。
「おじいさんはなにかわからないで売っているの?」アスターも眉をひそめた。
「わしはこの店をわしの父親から受け継いだ。わしの父親はその父親から引き継いだ。そ
の父親はその父親から……」老人はアスターの呆れた顔を見ていったん言葉を切った。
「だからわしにもわからん物があってもしかながない。だが、買うほうはなにかわかって
いるようじゃ。先日もこのボトルが二本と肺魚の浸かったビンが売れて行ったぞ」
「なにに使うか訊かなかったの?」
「わしは人のことには立ちいらん主義じゃ」
「ふーん、そう言えばさっき僕が最後の客だと言ってたよね?」
「そうなんじゃ。今日限りでこの店はおしまいにすることにした」老人はため息をついた。
「わしもこんなだし、跡継ぎもおらん」
「奥さんをもらって、跡継ぎを残そうとはしなかったの?代々続いた大切な店なんでしょ?」
「ああ、それも考えんことはなかったんじゃが、色々と問題があっての」老人はまたため
息をついた。
 アスターとしてはこんなところで老人の話を長々と聞く羽目になるとは思わなかった。
おまけにお茶も出ない。普段あまり使わない声帯を使いすぎたのか、老人の声がしゃがれ
てきた。そろそろいい頃合だと思ってアスターは店を出ようとした。
「それじゃ大分遅くなってきたし、僕はそろそろ失礼するよ」
「ちょっと待ちな。そう急がんでもいいじゃろ。この店は今日限りじゃ。お前さんはなに
か買いにきたんじゃろ?」
 アスターはなり行きで入っただけでそんなつもりはなかったし、それに店の中にある物
はすべてかび臭く埃をかぶっていた。
「いや、残念だけど僕の欲しい物はなさそうだ」お義理で周りを見回して言った。店を出
ようとするアスターを老人はあわてて引き止めた。
「待ちなさい。ここにはなんでもあるといったじゃろ。そうそう、お前さんの上着のボタ
ンがひとつ取れておる。確か奥にそれと同じ物がある。ちょっと取ってこよう」そういう
と部屋の奥の色褪せてもとの色もわからないような重たいカーテンの中に消えていった。
 アスターはボタンが取れていたのに気がつかなかったが、今着ている上着のボタンはど
こにでもある物ではないことはわかっていた。まだ村にいた頃、父親は働いていた製材所
から出るいらない木の切れ端を削って仕事の合間に小物をよく作った。このボタンも父親
が作ったものだ。よく見ると一つ一つに笑った顔が彫ってある。丁寧に磨かれニスを塗ら
れたボタンはとても味わいがあった。父親はもうボタンを作ってはいない。
 残されたアスターは店の中をもう一度見回すとため息をついた。「僕はなんでこんな所
にいつまでもいるんだろう、まったく」
 間もなく老人はもったいぶった様子でボタンをひとつお盆に乗せて奥から出てきた。
「ほら、ここにはなんでもあるといったじゃろう」得意そうだった。
 アスターは差し出されたボタンを手に取ると目を疑った。笑っているそれは、色といい、
形といい、木の材質といいまさしくアスターの上着のボタンその物だった。一瞬、老人が
ボタンこっそり盗んだのではないかと言う考えが浮かんだのが悟られたのか、老人はむっ
として言った。
「いらんならいいんじゃよ。だが、明日になって気が変わってもこの店はもうないからな」
 アスターは肩をすくめた。「わかったよ、おじいさん。貰うよ。いくらだい?」
 老人の言う金額は予想外に高かった。
「え、そんなにするの? それだけ出したらもっと立派なボタンがいくつも買える!」
「これはめっにない品じゃ。いやならいいんじゃ、いやなら……」
「わかったよ。」まったく相手のペースにはめられている。確かに今買わなければもう手
に入らないだろう。アスターはこのボタンが大好きだった。ため息をつきながら財布を取
り出した。
「毎度あり」老人はアスターを見てにんまりした。「まあ、最後のサービスじゃ。上着を
脱ぎな。わしがボタンをつけてやろう。そこに座って待っておれ」
「いいよ、自分でつけるから」
「最後の……」
「わかったよ、お願いするよ」アスターは上着を脱ぐと老人に渡し、そばにあった色が褪
せて薄汚れた布張りの椅子に座った。
 老人は隈の机から裁縫箱と粗末な椅子を持ってくると、アスターの横のどっしりとした
黒檀の丸テーブルの埃を袖で拭き、前に座り針山を出し糸をさがした。アスターは老人が
鼻に引っ掛けていた丸メガネをはずしロウソクを手元に引き寄せ一回で見事に針に糸を通
す様子を感心しながら見ていた。しわしわで節くれだって長い指がクモの足のようにとて
も器用に動いている。ふと老人の横の壁に掛かっている立派な額縁に収められた絵が目に
入った。
「立派な絵だね。これも古いの?」
 それは波打った豊かな黒い髪を肩までたらし、きりりとした黒い眉と闇のように黒い瞳
も持つエキゾチックな顔立ちをした美しい若者の肖像画だった。
 老人は動かしていた手を止めた。「いや、それはわしが描いたんじゃ。自画像じゃ」
「うそだろ!」思わず口から言葉が飛び出してしまい老人から睨みつけられた。
「まあ、無理もないがの」そう言うと寂しそうな顔をして続けた。「ほんの少し前までわ
しはこんな姿だったんじゃ。だが好奇心に負けて言いつけを破ってしまった。その結果が
これじゃよ」
「言いつけって?」ますます老人のペースにはまっていくことを感じながらも訊かずに入
られなかった。
「わしは生まれたときからこの家に住んでおる。この家から一歩も外に出たことがない。
必要な物はすべてこの家の中にある。そして必要なことはすべて父親から教わった。わし
の父親も同じじゃ。またその父親も同じ。いつからかはわからん」
 アスターは老人の頭がいかれていると思ったが、なんだかかわいそうになり少しばかり
つきあってもいいだろうと言う気になってきた。凶暴な性質はないようだ。きっとただ寂
しいのだろう。
「おじいさんのお母さんは?」
「わしが生まれるとすぐ帰っていった」
「帰っていったって、どこへ?」
「自分の家にじゃよ」
 アスターにはなにがなんだかわからない。
「わしの家族は複雑なんじゃ」老人は肩を落として首を振りながら言った。「まあ、わし
が知っておることをかいつまんで話すとご先祖様がこの地を選んで家を建てたのは昔から
にぎやかなところだったかららしい。そのほうが隠れるのにもってこいということでな。
まだ野蛮な時代じゃ。ご先祖様は地の果てにある国のさる偉い方に仕えておったそうじゃ。
だがご主人様は人使いが荒いくせに給料もろくに支払わんかった。そこで我がご先祖様は
ご主人様の持ち物を少々賃金のかわりにいただき退職したそうだ」
「少々?」アスターは周りを見回したが老人の不機嫌な顔に気がつきつけくわえた。「あ
あ、現物支給と突然の一身上の都合による自主退職だね」
 老人はフンと鼻を鳴らし先を続けた。「だが、ご主人様はどうもそうは思っていないら
しく今でも我がご先祖様の……その現物支給品を取り返そうとしてさがしているらしい」
「今でもってそれは大昔の話なんでしょ?」
「ああ、だがあちらにも執念深い子孫がいるのだろう。わしら子孫は先代から伝えられて
きた物を守り続けるだけだ」
「でもこれらを売っているんでしょ?」
「なにかやってないと生きている気がしないんじゃ」
「でも高すぎる」アスターはまだ根に持っている。
「商売という物は儲けるもんだろう。ここでは薄利多売というわけにはいかんからな」老
人はさも当然だというように言った。「いまさら代々続いた伝統を簡単にやめることがで
きん。そして色々な約束事や生きる方法を次の代に伝え続けた。入り口のロウソクの火は
必ず灯し続け、決して絶やしてはいけないとか、店の物に自分から手を出してはいけない
とかな。そうやって今日にいたったというわけじゃ。だがこのような環境で子孫を残すの
は難しい。そこで賢いご先祖様はこのロウソクを作った」
 そう言うと黒檀のテーブルに仕込んである隠し引き出しからちびたロウソクを取り出し
た。
「このロウソクに火をつけると暗闇で蛾が炎に惹かれるように若い女性がやってくる。夢
うつつの状態でな。そしてここで新しい人生をはじめる。それはこのロウソクの火を消さ
ない限り続く。望めば一生添い遂げることもできる。だがいったん火を消すとすべてを忘
れ何事もなかったように出て行ってしまうんじゃ。見てのとおりこのロウソクはもう残り
少ない。先のことを考えるとわしの父親はこれを長く灯し続けることはできんかった。だ
からわしが生まれるとすぐロウソクの火を消した。わしは父親の年を取ったときの子だっ
たからあまり一緒におることはできんかったがふたりでも十分満ち足りていた」老人の表
情は読めなかった。
「どうしてご先祖様はもっとたくさんロウソクを用意しておかなかったんだい?」
「以前は、とはいってもずいぶん昔ことじゃ。その頃はまだこのロウソクを作ることがで
きたんじゃが、代を経るごとに記憶はぼやけおまけにだんだん馬鹿になってきておる。今
となってはどうやって作るのかまるでわからん。もっともこのロウソクが新品でもわしは
使おうとは思わん。ロウソクの火を消せば消えるような間柄じゃ、そこにはなにも存在し
ない。なにもないんじゃ」
 アスターはなんと言えばいいのかわからないの話を変えた。
「こんな素敵な青年だったのにどうして……その……そんな風になってしまたの?」しわ
しわの古びたじいさんにとは言えない。
 老人は気にすることもなく笑った。
「そうさな、言いつけを破った罰さ。わしはいい加減この生活に嫌気がさしていた。ここ
にきて品物を買うやつらは陰気で変な匂いがするやつらばかりでなにに使うのか聞いても
答えもしない。お前さんのようなまともなも人間がもっときてくれればよかったんじゃが
の」
 まともな人間こそ、ここにはこないだろう。自分のことを棚にあげてアスターは思った。
「そしてある日ふと魔がさしたようにビンのひとつに口をつけてしまった。好奇心に負け
たんじゃ。あまりの苦さに口がしびれそのまま気絶してしまった。そして気がついたらこ
うなってしまったというわけじゃ。自分でも意外なんじゃがそれほどショックを感じなか
った。どうせどんな姿をしていたって見せる相手もおらんしの。だが、その夜朦朧として
おったわしはうっかり入り口のロウソクの火まで消してしまった。はっと気がついてすぐ
火をつけたんじゃが……」
 アスターはどきどきしてきた。それを見た老人はじらすかのようにのどが渇いたといっ
て奥に消えた。奥で自分だけなにやら飲んできたらしくアスターにはなにも持ってはこな
かった。
「すぐにあの男がやってきた。ばれたんじゃ。とうとうこの店の存在が」
「あの男って?」
「ご主人様の使いじゃよ」
「でも、おじいさんは無事だったんだね。ここにこうしているんだから。これから逃げる
の?」
「いや、その男にこの店を全部没収された。このわしごとな」
 アスターは言葉を失った。
「明日、その男がすべてを受け取りにくる。だから今日がこの店の最後というわけじゃ」
「おじいさんはどうなるの?」
「その男と一緒に行ってご主人様とやらに会ってみる。どうなるかはわしにもわからんよ。
正直言うとわしはホッとしとるんじゃ。この先どうしていいのやらもうわからんようにな
っておった。これでいいんじゃよ。きっとご先祖様も許してくれるさ。物事には始まりが
あれば、終わりがある。たまたまわしがそのカードを引いたんじゃ。そうじゃろ?」老人
は自分を納得させるかのようにそう言って目をつぶった。
 その後老人はなにも言わず黙って針を動かした。
 老人の話は終わったようだった。アスターはようやく店を出ることができそうだ。ゆっ
くり立ち上がると、ふとそばにある不思議な物に気がついた。
「手元にあるその置物はなに?」それは手のひらに乗る位の大きさで色の白い象牙のよう
だったが、カエルが溶けて固まったような形をしている。
 老人は目を細めると首をかしげた。「さあ、たぶん文鎮じゃろ。言ったじゃろ、わしの
生まれる前からある物もいっぱいある」そして思いついたように言った。
「そうじゃな、この文鎮をプレゼントとしてつけてやろう。お前さんはわしの最後の客じ
ゃからの」
 老人は気前がいいところを見せて得意そうだった。最後に糸を歯で切った。立派な歯を
持っていた。
「ほい、できた」
 アスターは受け取った上着に袖を通しながら言った。「これから大変だね」
「そうじゃな、なるようになるさ。少なくとも今より悪くはならんじゃろ」老人は寂しげ
に言った。
「じゃあ、おじいさんも元気でね」そういって別れを告げて出て行こうとするアスターに
老人は文鎮を手渡した。「お前さんも負けるなよ」
 渡されたかたまりは思ったよりずいぶん重かった。なんでできているんだろう?
 入り口の扉を開けると外はすっかり暗くなっていた。上着の形が崩れることも気にせず、
貰った文鎮をとりあえずポケットにいれた。
  それにしても、なんで「負けるなよ」なんだ?僕は明日から働くことを話したっけ?
そんなことを考えながらふと振り返ると扉の奇妙なステンドグラスの模様が内側から照ら
しだされへんてこな文字になっているのがわかった。
 『なんでもあります。ただし腐る物以外に限る』
 あれが看板だろうか? なんともわかりにくい。ゆっくり眺めるひまもなく中の明かり
が消えてしまった。
 すっかり遅くなってしまった。路地に並ぶ家々には明かりが灯りはじめている。笑い声
が聞こえる家もある。ホッとする風景だ。だが、アスターは体がだんだん重くなっていく
ような感じがした。寒気もする。屋敷にたどり着いたときには早く横になりたくてしかた
がなかった。
 玄関を抜けたとたんに母親につかまった。「アスター、遅かったのね。心配したのよ」
ヴィオラの頬はいつにもまして艶々としている。
 「明日に備えて、学校の周りを歩いてみたんだ」いい年をした息子をいつまでたっても
子供のように扱う母親をうっとおしいと思うことがあっても邪険にしたことはない。
「夕食は先にいただいたわ。そうそう廊下でこのボタンを拾ったんだけど……」ヴィオラ
はアスターの上着を見た。「あなたのではないようね。誰のかしら……?」
「さあ、兄さんのじゃない? 夕食は後にするよ。明日に備えてちょっと一休みしたいん
だ。どうも歩きすぎた見たい」アスターは早く部屋に戻りたかった。
 部屋に戻り上着を椅子にかけるとベッドに倒れ込んだ。
 そして次の日学校には行けなかった。それから一週間、アスターは高熱で動くことがで
きなかった。

 

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